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報告:上池袋での活動記録ブック 完成!

2020年の秋にシェアスペース運営を始めたわたしたちは、2年半が経った今年2023年3月を一区切りとして、オンライン研究会と町歩きという2つのイベントを開催し、さらにそれを冊子にまとめました。


以下に、冊子冒頭に掲載している「はじめに」を紹介します。

ご興味があるかたは、冊子を郵送させていただきますので、ご連絡ください。




















*****


はじめに


 〈ラボラトリ文鳥〉は、二〇二〇年九月から豊島区上池袋の木造賃貸アパート「北村荘」を拠点として、「探究」を合言葉に活動してきました。〈ラボラトリ文鳥〉が目指しているのは、生活の疑問や不安感について、ゆっくりと時間をかけて対話を尽くし、その疑問や不安の解像度を高めていくことです。北村荘はそのような対話を実践するための重要な舞台装置になっています。

 こういうと、その目標が最初からはっきりしていたかのようです。しかし、この活動をどのように位置づければよいか?どのように活動を紹介すればよいのか?という問題は私たちにとって大きな課題であり続けてきました。北村荘での活動は、共に思考すること、考えや感じ方を共有すること、場を開くこと、地域とかかわることについての実験と試行錯誤の積み重ねです。それらすべてが対話についてのたえざる探究であり、公共性や自己について問いつづけることであり、言葉への慎重な読解を要求するものでした。それは、テクストを丹念に読み込むという人文学の伝統的な手法「文献学」にもなぞらえうるものです。〈文鳥〉が自らの活動を言い表す言葉の選び方にさえ時間をかけてきた理由はここにあります。

 そのような試行錯誤の一つとして、〈ラボラトリ文鳥〉は二〇二三年春に二つのイベントを開催しました。一つ目は、現代民俗学会と共催で行ったトークイベント「生活と探究の民俗学 上池袋・木賃アパートから考える」(現代民俗学会第六七回研究会、三月一二日)。もう一つは、町歩き「クイズでおさんぽ かみいけスタンプラリー」です。二年以上にわたって上池袋の北村荘を居場所としてきた私たちにとって、この二つのイベントは自らの活動を北村荘の外に開く重要な機会となりました。学会のように机の前に座って言葉を交わすことも、町歩きのように体を動かしながら想像力を働かせることも、どちらも私たちにとっては「探究」と呼べるものです。

 本冊子は、これら二つのイベントに焦点を当てながら、〈ラボラトリ文鳥〉の活動を紹介します。まず第一節では上池袋と木賃アパートの歴史をたどります。第二節は、そんな歴史に思いをはせる町歩き「かみいけスタンプラリー」を追体験する内容です。この散策の最後の目的地は、北村荘。その北村荘で〈ラボラトリ文鳥〉が取り組んできた「探究」の実践報告が第三節です。

 この冊子を通して、今後の活動の広がりと深まりをわかちあい、一緒に探究できるひとと出会えたらうれしいです。



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